Look for my way ~自分だけの道を探して~(現在受験中)

基本的には普通の高校生でたまに小説を書いたりする僕が、日々の生活を振り返って、嬉しかったことや心に残ったことを忘れないようにしようと思ってこのブログを書いているんだ。つまらないかもしれないけど、もしよかったら見ていってほしい。


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メイプル戦記 プロローグ

2007-12-05-Wed-23:25


―――名も無き村での出来事―――

「はぁ…はぁ……。」
どしゃぶりの雨の中、必死で走っている一人の少年がいた。
5,6歳だろうか、とにかく、幼い少年は、走っていた。
「ギャオオオオオオオオオオオ!!!」
後ろから、たくさんの異形の生き物たちが襲ってくる。
そう、走っているのではなく、必死で逃げていたのだ。

「…ぜぇ…ぜぇ……! うわぁ!」
少年は、逃げることにだけ意識が集中し、足元をみていなかったので、躓いて転んでしまった。




「痛…」
結構ひどくすりむいてしまったようだ。
血の出る勢いが強い。
ここまでで何度躓いたかわからないため、全身がすでにぼろぼろだ。
痛い、しかし、痛がっている暇はない。
逃げなければ、死ぬ。

そう思い、少年は再び立ち上がろうとする。
しかし、すでに異形の生き物、「モンスター」は自分にとびかかっていた。
「あ……ぁ……」
その鋭いかぎづめが自分ののど元に伸びてくる。
少年は、死を覚悟し、眼をつぶった。

(…あれ?)
しかし、いつまでたっても、鋭い痛みは来ない。
少年が目をあけると、自分の目の前には父と母がいた。
「大丈夫!?セイン」
母親が少年を抱き上げる。
「頼む、私が食い止めているうちに、セインの治療を!」
剣を構えて戦っている父親の声が聞こえる。
「わかった!」
返事をするなり、母親の魔法の光がセインを包む。
「痛…母さん……父さんが…」
「大丈夫、お父さんは、とっても強い戦士なんだよ?大丈夫だから、あなたはおやすみなさい」
痛む体に涙を流しつつ、父親を心配するセインに、母は言い聞かせた。
しかし――


「お前たちは!?……ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
反射的にその叫びがした方向を向いたアムとセインの見たものは……
何体ものモンスターが倒れているなかで何人もの見慣れぬ服装をした二人の男たちのうちの一人の槍に貫かれた父であった。
「あ、あなた!」
すぐに駆け寄ろうとする母に、父は言った。
「ぐ………に、逃げろ、私に…かまうな、さっさといけ!セインを…つれて…早くっ!」
父が槍に貫かれながらも、セイン達の逃げる時間を少しでも稼ぐために、その場に踏みとどまっている。
「あーあー、うるさいな、いい加減静かにしてくれないか?」
男達の一人はそう言うと、懐から空いた手で剣を取り出し…





――父の、首をはねた。





「あなたぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「父さぁぁぁぁぁぁん!!!!」
体の支えを失って、そのまま倒れる父。
ほんの数秒の時間が、数時間にも感じられる中、セインと母が悲痛な叫びをあげる。
二人の男達は父親には目もくれず何事もなかったかのように、セイン達に近寄って行った。
「よくも…私の大切な…」
怒りと悲しみに、わなわなとふるえる母。
「何?弱いのがいけないんだろうが。…にしても、お前、なかなかの上玉だな。今すぐ殺すのはさすがにもったいないな…。」
男達のうちの一人がいやらしい下卑た顔をして近寄ってくる。
「近寄らないで!『マジッククロー』!」
母が手をかざすと、そこに魔でできた小さな斬撃が起こる。
しかし、男はものともせずに向かってくる。
「あーあー、あぶないね」
「・・っ!」
母がうろたえているのがわかる。
「セイン、下がってなさい。」
母親はそう言って、セインを自分の後ろに下がらせると、魔法の詠唱を始めた。
「…光よ、わが手に集まりて、敵を貫け!『ホーリーアロー』」
母親の手にはいつのまにか光でできた弓が携えられていて、放たれた矢は男達に向かっていった。
しかし、その矢は誰にも突き刺さることはなく、男のうちの一人の黒い肌の男によって、母の放った矢は片手で受け止められた。
「…反撃を確認、危険因子と判断、排除する。」
男はそうつぶやいたかと思うと、消えた。
「え…?」
次の瞬間にセインの目に映ったのは、ナイフで腹を刺し貫かれている、母の姿。
「あ…」
母はそのまま、セインのいる場所に倒れた。
当然、セインにその体重を支えるだけの力はなく、母に押しつぶされるように一緒に倒れた。
「!母さん!」
母は、かろうじてまだ生きている。
しかし、長くないということは、明白で、セインにもわかっていた。
「あーあー、このドラン様が後で楽しむつもりだったのによぉ、なにすんだゲイル」
「反撃してきた時点で敵…そこに挟む感情など持ち合わせてはいない」
男達はなにやらもめている、そんななか、セインはただ茫然としていた。
「おい、まだ子供がいるじゃねぇか」
セインの存在に気がついたドランと呼ばれた男が指をさす。
「不安因子…排除する」
ゲイルと呼ばれた方の男がセインにナイフを投げた。
「あ…ぁ…。」
セインは、反射的に身をそらしたが、深々とそのナイフは腹に刺さった。
「排除…完了」
「ったく…。おいゲイル、さっさと行くぞ、ほかの生き残りがいるかも知れねぇ、もっと殺して成り上がるぞ!」
「了」
そうして、父のときと同じように何事もなかったかのように二人は去っていった。


――冷たい雨が、自分の体に降り注ぐのがわかる。
(痛い……僕は…死ぬの?)
セインは自分の意識が薄れていくのを感じた。
「セイ・・ン。」
母が口を開いた、今にも消え入りそうなその声でセインに話す。
「私の…大事な…息子を……死なせる…もんで…すか」
傷のあたりに、母の手が添えられているのを感じる。
だけど…どんどん意識が薄れていく…。
「…!……」
母さんが、何か言っている。
なんて言ってるんだろう、わからないよ。
音が聞こえなくなっていく…
かろうじて見えていた母さんの顔ももう、見えない。


これが、死ぬってことなのか?
なんだか、痛みが引いていく。
これなら死ぬのも悪くないかもしれない。
だが…
これが本当に死ぬってことなのか?
逆に視界がはっきりしていく、音も聞こえてくる。

セインは起き上がってみた。
(…動ける)
自分の致命傷だったはずの傷が…消えている
そして、自分の横には…
「母さん!」
そう、すでに虫の息の母さんがいた。
その瞬間、母が命を削って、自分を助けてくれたことを悟った。
「母さん!」
必死に肩をゆする。
「母さん!しっかりして!」
すると母さんは少しだけ、眼を開けて僕にほほ笑み、言った。
「セイン…強…く……生きな…さ…い…。」
それだけ言うと、眼をとじた。
「…母さん? 母さん! 母さぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!」
母が、再び目を閉じることは、なかった。
「う…う……うわあああああああああああああああああああああああああああああああ」
すべてを失い、悲しみの涙を流すセイン





そんなセインにかまうことなく、雨はその涙を、叫びをかき消し、何事もなかったかのように降り続けていた…。
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